微気候とは

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2016年2月2日

 テレビの天気情報では外気温33℃なのに家の温度計で外気を計ってみると37℃。そんな経験はありませんか?

 室内の気候は、外気温だけではなく、住まいを取り巻く環境でずいぶんと変わるものです。そのような住まいとその周辺に限った、局地的な気候のことを微気候(ミクロクリマ)といいます。
 微気候はデザインすることが可能です。室内機構だけをコントロールするエアコンに頼り過ぎず、植栽、建物の設計や仕上げ材、打ち水など涼を生む工夫で、心地よい微気候を作り出すことです。
「心地よい微気候」の連鎖が、快適な街の気候に繋がります。

体感温度を左右する素材の表面温度

 涼しい環境をつくるとき、意外と語られなかったことが壁や天井の表面温度についてです。
 熱は高い方から低い方へ流れる(輻射)と前述しました。床・壁・天井の表面温度が低いとそこへ身体の熱が奪われて涼しさが増すということが意識されるようになりました。

 さて、表面温度を低くできる素材やエアコン環境とはどんなものでしょう。
 古い民家に入った瞬間、ひんやりと涼しさを感じるのは、大屋根でしっかり遮熱され、土中の冷気で蓄冷された熱容量の大きい土間、厚い土壁が身体から熱を奪うためです。
 また、土や木といった呼吸する素材は吸放湿性があり、蒸散を促す効果が期待できます。
 一方、冬も室内に熱容量の大きな素材があれば、日中の熱を蓄え、夜間放出するという安定した室内環境を生み出します。

夏涼しい冬暖かい、心地よい室内環境をつくるためには、空調でつくる室温とは別に、身体の熱の移動(輻射、蒸散)を促す熱容量やエアコン
吸放湿性のある素材が体感温度を左右のすることが分かります。ただし、熱容量の大きな家は夏の日中日射を遮っておかないと、逆に熱を貯めこむ暑い家になってしまうので、注意が必要です。
バリの開放的な東屋。木や竹を使った大屋根と石床の構成。熱容量の小さな屋根は熱を内部に伝えにくい。熱容量の大きな石床は。大屋根に遮熱されているのでひんやりと涼しい。

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